今回は本とオーディオブックです。
私は大学時代、心理学科だったのですが、サークルに夢中だったので、単位を落とさないようにギリギリ最低限度の勉強しかしていませんでした(こういう要領にかけてはピカイチな才能がある)。
そんな大学3年生のときに、河合隼雄という臨床心理士のエライ先生が大講堂で講演をやり、それを聴くだけで単位が貰えるというではないですか!
学科の友人(♀)に「河合隼雄って誰?」と聞くと、
「あんた、心理学科なのにホントに知らないの?」と呆れられました。
友人曰く、『日本心理学界の巨人』とのこと。
さしたる期待もせずに講演を聴いたところ、まぁ面白いじゃないですか!
言うなれば『カウンセリング漫談』。
ニコニコしたおじいちゃんが優しい口調の関西弁でカウンセリングの現場について話してくれる。
そして、「現場ではこんな不思議なことがあるんですよ〜」と冗談を織り交ぜてのトーク。コロッと引き込まれました。
「この人は何者なんだろう。底が全く見えない」というのが私の感想。
そして、声を聴いているだけで落ち着くような安心感、その存在感。
それからも大学の勉強は最低限度のことしかしませんでした(卒論は『便器のデザインについて』。ちょっとふざけ過ぎた感あり)。
でも、河合先生の本を一冊、また一冊と読むようになりました。
河合先生の本で好きなのが対談本です。
色んなジャンルの第一人者との対談は内容が濃い。
対談者は「先生と話すとなんか喋りすぎてしまう」と感想を残すそうです。
白洲正子さんとの対談『魂には形がある』での白洲さんの感想が印象的でした。
「こんなにも話がビンビン通じるのは、先生が深層心理学者だからなんじゃなくて、確実に人生を生きていられるからだと思う」
この夏、朝早く目覚めても、頭がボンヤリして読書する気になれなかったので「オーディオブックでも聴くかな」と思いました。「どうせ聴くなら癒される声質がいいな」と考えたら、河合先生の声が聴きたくなりました。そして、大当たり!!
一言でいうと、人生のヒントが盛り沢山。それにもまして聴いているだけでも感じられるあの安心感。
おじいちゃんに甘える孫の気持ちにさせてもらえました。
将来、あんな安心感を醸し出せるようなおじいちゃんになりたいです。
足元にも及ばないでしょうけど、目指すのは自由ですよね。
私にとって大きな目標の人物です。