お店のBGMは試行錯誤していました。
私の個人的なお気に入りだった『カエルの鳴き声』は、あるお客さんに「エアコン壊れてる音かと思った」と言われて断念しました。そして、平成28年の夏から同じCDを流し続けています。
冨田勲「月の光」
・1974年にシンセサイザーを用いて制作されたアルバムで、米ビルボード誌クラシックチャート第一位
冨田さんはシンセサイザーアーティストで、日本人で初めて米グラミー賞にノミネートされるなど世界的な評価を受けています。
といっても、私は全く知りませんでした。知ったきっかけは、糸川英夫さん(日本ロケット工学の父)と冨田さんが交流があったエピソードをどこかで読んで興味を持ち、Youtubeである動画を見つけたから。
その動画は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を初音ミクがソリスト、オーケストラと合唱団、そしてCGで表現したもの。
https://www.youtube.com/watch?v=nkS6o7OKDV0
その幻想的なワールドにコロッとハマってしまいました。それと同時に、「あ〜、宮沢賢治にはまる人は、こういう感覚を文章から感じているのかもなぁ〜」と思ったわけです。
私は、宮沢賢治が好きな人はドップリはまっているイメージがあったので何冊か読んだことがあるのですが、イマイチよさがわからず、「なんでこの文章にはまるのかな〜」と理解できませんでした。特に『銀河鉄道の夜』は代表作でしょうから何度か読み返しましたがピンとこない。
でも、この動画を見てピンときたんですね。きっと賢治の文章は音楽的なんですね。文章がメロディーを想起させるのではないかと。そんな文章は多くはないでしょうから、はまる人はドップリはまると。私は自慢じゃないですが、音楽的センスがない。なので、文章からメロディーを感じられない。だから、賢治の良さがわからなかったと。
そんなことが自分なりに腑に落ちて『トミタサウンド』にはまったわけです。
ただ、私が冨田さんを知った頃には、冨田さんはもう亡くなっていました。H28年の春です。そのお別れ会でのスティービー・ワンダーからのメッセージがこれまた素敵なんです。
http://okanonet.com/2016/06/tomita_stevie/
このBGMを流しだしてから、たまにお客さんから言われるのが、「なんかゲームの音楽みたいのが流れてますね」というもの。なるほど。シンセサイザーは電子音だから、そう聞こえるものなんですね。
あるお客さんからは、「懐かしい〜、冨田さんですよね」というコメントも。その方はエレクトーンをずっとやってきていて、その方面では冨田さんは必ず通る道らしいです。そんな風に冨田さんの話題で話をできたのは、ちょっと嬉しかったりしました。
飽きっぽいのが自慢の私ですが、トミタサウンドはまだまだ飽きがこないみたいです。
今のところはBGMは変えずにいこうかなと思っています。