コロナ感染の後遺症で膵機能障害(膵炎)の疑い
コロナ禍の2022年の話です。
40代女性。クラブのママ。3ヶ月前に新型コロナウイルスに感染し、その後遺症からなのか胃が不調になる。病院で機能性ディスペプシア(FD)と診断された。酷い胃もたれ、膨満感があり、息苦しくなる。胃酸も上がってくる感じ。お酒も弱くなった。病院で処方された薬(アコファイド)は効果を感じない。昔から胃は弱い方で、常に睡眠不足、運動不足。
5ヶ月前からコロナ禍の影響でお店を休んでいたが、先月に再開した。しかし、食べれなくなり、再びお店を一旦休む。
初回来院の後、週末だけお客さんのために店を開けて、お酒を飲んでしまった。胃の調子が悪化してしまう。
その後、数回来院するが症状は変わらなかった。
コロナ禍の時期には、このような方は数名いました。コロナに感染後、胃の不調だけでなく、お酒が飲めなくなった方です。水商売の方や営業で飲酒の機会が多い方など、元来お酒が強かったのに全く飲めなくなってしまい、仕事に支障が出ていました。
そして、施術をしても症状は改善しませんでした。
当院には、機能性ディスペプシアで来院する方は多数いらしていて、胃の不調から脂っこいものが食べられなくなる方は多いのですが、お酒が全く飲めなくなったという方はあまり記憶にありません。胃の調子が回復すれば、お酒も徐々に飲めるようになる方が大多数です。
そうなると、胃の機能低下以外の要因があると考えられます。
脂っこいものが食べられなくなり、お酒が飲めなくなっているので、膵臓が機能低下している可能性があります。
膵臓は、膵液という消化液を分泌する外分泌機能と、ホルモンを分泌する内分泌機能をもっていて、消化を助ける働きと血糖値を調整する働きがあります。
膵機能障害になり脂肪を分解する消化酵素の分泌が減ると、脂っこいものを食べたときに十分に消化・吸収できなくなってしまうことになります。
また、飲酒による膵臓の障害は、アルコールによって体内に生じた炎症物質などに他の要因が加わることによって起こるといわれています。その障害によって膵臓自身を溶かしてしまうことになります。
膵臓は一度破壊されると元に戻らない臓器なのが厄介なところです。
新型コロナウイルスは、膵臓の細胞に存在する受容体を介して直接膵臓にダメージを与えたり、過剰な炎症反応を引き起こしたりすることで、膵臓に影響を及ぼすことがあるという研究結果があります。
膵臓の機能低下だとすると、アプローチは慢性膵炎に対してと同じと考えていいでしょう。つまり、生活習慣を見直すことが必要になり、禁酒、禁煙、低脂肪の食事が基本になります。膵臓へのダメージを断ち切るためにはお酒をやめる必要があります。そして、刺激のある食べ物や飲み物を避けていくことです。
最後になりますが、当院による施術で、新型コロナウイルス感染後にお酒が飲めなくなった人を改善させることはできませんでした。しかし、ウイルス感染後には胃の機能低下だけではなく、膵臓の機能低下があることを考慮することを学びました。
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