【発育症例】チック症になる
16歳高校1年生の男子。ASDとADHDの診断あり。試験が続いてストレスだったのか、高熱を出した後にチック(首を振る運動チック)になる。幼少期にも2度なっており、溶連菌が要因といわれた(PANDAS:小児自己免疫性神経精神障害)。母親いわく、当時はストレッチなどの運動系でチックが緩和していった経験から、当院をHPで見つけて来院。
感覚過敏あり。読解力に難があり、コミュニケーションでは一方的な会話になりがち。こだわりが強いなどの傾向がある。エビリファイを服用している。普段からふざけていることが多いが、面接のときなどはしっかり受け答えすることはできる。
初診で検査をしていくと、身体の動きのぎこちなさが顕著。原始反射の検査でも陽性がいくつかある。
一番気になったのが眼球運動の検査で、こちらが指し棒(目標物)を目で追うことをさせると顔を歪ませてしまう。特に上下の眼球の動きで顔が反応する。ふざけているわけではなく、脳神経系の混線のようなものと考えられる。
施術は、原始反射統合エクササイズをベースに、できない身体の動きを修正していくことと、感覚刺激を入力していくことを続けていきました。
初回後の本人の感想では、施術後は頭がスッキリするとのこと。そして、本人はとてもヤル気があります。家でも教えたことをやっているそうです。中学生以上だと、本人のヤル気がその後の変化を大きく左右すると感じています。
以前、不登校の15歳男子が一度だけ来院したケースがありました。口の達者な彼は、施術中に「これをして何が意味があるんですか?」と挑戦的な口調で話してきました。説明はしましたが、彼は行動に移すのが難しいタイプだなと思いました。心理面でこじれてしまっているケースでは、前向きにエクササイズなどを実践し続けられない傾向があります。子どもであれ、大人であれ、ヤル気を出させるということは簡単なことではありません。
また、眼球運動で指し棒が顔の近くにあると顔を歪ましてしまう問題では、動画を活用しました。OKN(視運動性眼振)を起こすというストライプが流れていく動画を見るときには顔は歪まないのです。そこで、このOKN動画を横からと上下で見ることを宿題としました。すると、次第に顔の近くで指し棒を動かしても、顔が歪まずに目を動かせるようになっていったのです。
チックも施術回数を重ねるごとにおさまっていったが、身体面や心理面で疲労していくと再度チックが起こるという波がありました。しかし、徐々に改善していきました。
チックでも眼球運動でも、動きから脳機能の状態を推察することはできます。脳への刺激を入れることをひとつずつ行なっていくことが大切だと考えています。
最後になりますが、あるとき、彼の母親が報告してくれたことがあります。
彼が家で計算問題を解いていたときに、「ああ、こうすればいいのか」と大人びた口調になり、集中して計算に取り組んだことがあったそうです。普段のふざけてばかりいる様子とは違っていて驚いたとのこと。今後、そのような場面がもっと増えるといいなと思ったそうです。
<関連コラム>
・
眼球運動のセルフケアに最適な動画を作成