女性に多いケースですが、コリがつらくてマッサージへ行ったが“揉み返し”で痛くなってしまい、怖くてマッサージへ行かなくなった、という話を結構聞きます。
楽になりたいのに逆に痛くなってしまうのですから、マッサージをうける意味がないですよね。
なぜ、“もみかえし”になってしまうのか?
それは、凝っている筋肉に対して、必要以上に強く押してしまうために筋肉組織が損傷してしまうからです。
一般に、マッサージの刺激の強さは、『イタ気持ちいい』くらいがいいと言われています。そして、“もみかえし”になったケースでは、施術中に『痛い』と感じていることが多いようです。受ける側としては、「痛いほうが効果があるのだろう」と我慢してしまうようですが、痛いという感覚は身体の危険信号でもあります。
なぜ強く押されてしまうのかと言えば、コリ固まり具合がスゴイから、マッサージする側が頑張ってほぐしたくなるからでしょう。
そのような施術者は、強さ加減の強弱のつけ方が下手なのでしょうが、その施術者がそのコリの原因を理解していないからでもあります。
コリの原因は大きく分けて3つあります。
一つ目は、筋肉を伸び縮みさせ過ぎて固くなったコリ。
運動後の筋肉のコリと考えていいでしょう。このコリは揉んだりストレッチしたりしてガンガンほぐしてもOKです。
二つ目は、同じ姿勢を長く続けたために固くなったコリ。
デスクワークの方などはこのケースで、動かないために血行も悪くなっています。このコリもほぐしてOK。しかし、ストレッチは部位によっては悪化する怖れがあります。理由としては、筋肉が伸ばされた状態で固まった組織をストレッチする(さらに伸ばす)と、組織が損傷する可能性があるからです。
なので、このようなコリは、ほぐして、さらに運動することで筋肉を伸び縮みさせてあげることが必要です。
そして、三つ目が、身体を支えきれないために固くなったコリ。
筋肉が弱く、関節も柔らかい人がなるケースで、女性に多いです。
このような方は身体を支えるという支持力が弱いため、筋肉と関節を固くさせることにより身体を支えています。身体の無意識の防御反応で凝っているわけです。
このようなタイプの方は、コリをほぐしてもすぐに元に戻ってしまいます。
原因は、マッサージベットに寝ている間はいいのですが、ベットから起き上がり動き出すと、身体が“ふにゃふにゃ”で不安定になるからです。身体を支えることが出来なくて危ないと身体が判断してしまい、筋肉を固くすることで身体を安定させようとします。こうして、コリがすぐに戻ってしまいます。
さらに、“もみかえし”になるのは、このように身体を支えるために筋肉が固まったタイプの方が多いです。こういうコリは、触った感触がかなり固いので強く圧したくなるのですが、筋肉自体は弱く繊細なので、組織を痛めてしまうことになるのです。
では、このようなコリにどう対処すればいいのか?
結論から言えば、身体の支持力を落とさずに身体の柔軟性をアップさせればいいのです。
施術方法は、筋肉はほどほどにほぐし、筋肉と共に身体を支えている骨格の柔軟性をつけます。関節の可動域をアップさせるわけです。
筋肉が固くなっている部位では、その奥に位置する関節も固くなってしまいます。イメージとしては、長く使用していないドアが錆ついてギシギシきしんでいる状態です。その錆ついた関節を矯正することによりスムーズに動くようにします。すると、身体の支持力はそれほど落ちずに、身体の柔軟性はアップします。結果、血行もよくなりコリも解消していくわけです。
こういった関節の調整は、整体やカイロプラクティックの分野なので、ただコリをほぐすだけの安いマッサージ店に行っても筋肉をほぐすだけなので、関節の調整はしてくれません。
また、どの整体院やカイロプラクティック院に行っても改善するわけではありません。いわゆる『筋よわ関節ゆる』の支持力が弱い方の施術は難易度が高いので、施術者の腕がよくないと改善しないと思ってもらっていいです。
『筋よわ関節ゆる』なカラダの持ち主は、自分の身体は繊細で取り扱い注意なモノという自覚を持ったほうがいいでしょう。そんな壊れやすいモノをあずける相手はちゃんと選ぶべきです。でないと、せっかくお金を払って施術をうけても無駄になってしまいます。
美容室でサービスとしてマッサージしてくれますよね。そのときに、「凝ってますね〜」と言われて強く揉まれて痛くなった方もいると思います。
そうならないために自分の身は自分で守りましょう。
そのような場面では、「私は『もみかえし』になりやすいので、さするだけにしてもらえますか」と言ったほうがよいでしょう。
“もみかえし”になりやすいのは、繊細なカラダということです。
ただ、“もみかえし”を怖れてケアをしないというのは問題です。コリの慢性化で血行不良になり、細胞が老化していきます。身体は生ものなので、お手入れをしないと徐々に腐っていくものです。
まずは己のカラダを知ること。そして、そのケアを任せる相手をちゃんと探すこと。それさえできれば、“もみかえし”も恐るるに足らずです。
