脳で新たなニューロンが生まれる部位
90歳でも神経細胞(ニューロン)が再生する部位があります。海馬と嗅球です。
海馬は記憶の中枢であり、嗅球は嗅覚を司っています。
認知症の原因疾患のひとつであるWアルツハイマー病Wでは、記憶を司る海馬の萎縮よりも先に、嗅覚野の変性が起こることがあるといわれています。
脳が優先するのは生き延びることです。そのことを踏まえて、これらの部位の神経細胞が再生し続けていることを考えていきます。
そこに、長寿のヒントがあるはずです。
神経幹細胞
ヒトを含む哺乳類の脳には神経幹細胞が存在し、神経細胞(ニューロン)を産生しています。幹細胞とは、失われてしまった細胞を再び生み出して補給する働きを持っている細胞。脳で神経幹細胞が存在するのは、海馬と脳室下帯です。
遺伝子操作により新たなニューロンができないマウスを作り、正常なマウスと比較した実験があります。
その実験結果によると、正常なマウスとの違いがみられたのは、W空間記憶Wに関することと、天敵の臭いがした場所にエサ(報酬)があったときの行動です。
記憶
新たなニューロンができないマウスは、W空間記憶Wに障害が起きました。これは記憶を司る「海馬」に関係していると考えられます。
動物が生き延びるためには、危険な場所を避けねばなりません。そのためには、安全な場所を確保しないといけない。それらを覚えていられないとしたら生存する確率が下がります。
また、生き延びるためには食物の場所を覚えているかということも重要です。
臭い
天敵の臭いがした場所にエサがあったときの行動については、「嗅球」が関わっていると考えられます。
正常なマウスはエサがあっても天敵臭がする場所には近づきません。「エサの臭いはするけど、危険だから止めておこう」と判断したのでしょう。
一方、新たなニューロンができないマウスは天敵臭がしてもエサを食べにいってしまう。
「危険なのはわかっちゃいるけど、止められない」なのか、「危険なのはわかっちゃいるけど、どうにかなるだろう」と判断したのかは不明ですが、安全のための行動を優先できないので、命を落とす危険が増します。
また、新たなニューロンができないマウスはフェロモンに対する反応にも障害が起き、繁殖能力が落ちるそうです。
オスは性行動が低下し、妊娠させる能力も下がる。メスは妊娠や出産する率が低下し、育児放棄もみられるとのこと。
種の繁栄から考えると先細っていくことになるでしょう。
まとめ
海馬と嗅球で新たな神経細胞が再生されなくなると長生きできなさそうです。
しかし、刺激を与えれば神経細胞は再生していきます。
W空間記憶Wを刺激したければ、新しい場所に行けばいい。
W嗅覚Wを刺激したければ、日頃から匂いを意識して生活すればいい。
シンプルに考えましょう。
もっと記憶力や嗅覚の感度を高めていきたい方もいるかと思います。
『脳トレ整体』では、その人の脳の特性に合った感覚刺激を入力する方法を用意しています。
<参考にした動画>
「大人になっても神経細胞は増えているの?−その不思議な役割について」京都大学 第28回品川セミナー 影山 龍一郎(ウイルス研究所 教授)
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/40/