W神経の可塑性Wとは、刺激や経験に応じて脳の神経ネットワークが変化する性質のことです。リハビリテーションの分野では、この可塑性を活用して機能回復を促進しています。
可塑性といわれてもわかりづらいと思いますので、このW神経の可塑性Wをできるだけイメージしやすく説明していこうと思います。
神経の可塑性とは
神経の可塑性とは、脳神経系が「構造」を変化させて新しい神経ネットワークをつくったり、「機能」を変化させて既存の神経ネットワークの効率を変化させることです。
まずは、神経ネットワークの「構造的な変化」と「機能的な変化」を分けて考えていきます。
構造的な変化
神経ネットワークの構造的な変化を、草木の根に例えてみます。
草木は地中に根を張り巡らしていきます。根の役割は水分や養分を吸収することです。また、草木を支える役割もあるので、重力方向へ根を伸ばしていきます。
もし、石などの固いものに当たると根は進むことができなくなります。そこで抵抗の少ない方向に曲がりながら根を伸ばしていくことになります。
この『抵抗の少ないほうに伸びていく』ことが神経ネットワークの「構造的な変化」と捉えてもらっていいと思います。新たな方向に神経という根っこを伸ばしていくイメージです。
例えば、失明(視力を失う)してしまった人が、聴覚が敏感になったり、触覚が敏感になっていった話は聞いたことがあると思います。そのような場合、視覚に関わる脳領域への神経ネットワークは、石に当たった草木の根のようなもの。神経ネットワークは視覚系に伸びても仕方がないと判断し、聴覚系や触覚系にネットワークを張り巡らしていったと考えられます。
草木が生存し続けるために地中に根を張り巡らせるように、人間の脳神経系もなんとか生き残るために神経ネットワークを伸ばしているのでしょう。
機能的な変化
次に、神経ネットワークの機能的な変化を、道路の車線に例えてみます。
神経の伝達経路がW道路Wだとしたら、情報を伝える電気信号はW車Wです。
そして、よく使う経路は情報を伝達する量が増えていきます。すると、神経系はこの経路は重要だと学習して「道路の車線を増やす」ことをします。車の交通量が多くなります。神経が太くなるとイメージして下さい。物理的に神経が太くなるわけではありません。あくまでイメージです。神経が活性化しています。
逆にあまり使わない部分の神経は、この経路はあまり重要ではないと学習して「道路の車線を減らす」ことをするので、神経が細くなるとイメージして下さい。神経がボケてしまったとイメージしてもいいでしょう。
このようにして、既存の神経ネットワークの効率が変化していきます。
運動で考えるとわかりやすいかと思います。
お父さん(中年男性)が子どもの運動会で走ったら転んでしまったという話をよく聞きます。久しぶりに走ったら、走り方を忘れてしまっている。つまり、走るための筋肉を働かせる神経がボケているわけです。でも、それに懲りてランニングなどを習慣にしたら、転ばずに走れるようになる。走るための筋肉を働かせる神経が活性化するからです。
このようなことが、運動系・感覚系・自律神経系の神経ネットワークでも起こるでしょうし、思考系の神経ネットワークでも起こると考えられます。
まとめ
神経の可塑性について、なんとなくイメージできたでしょうか。
草木の根が成長のために伸びていくことが、脳神経系にも起こっていると想像できるといいかと思います。その営みは、生き物として自然なことです。
最後までお読みいただきありがとうございました。