更新日:2026年3月10日
子どもの機能性ディスペプシア(FD)
当院には、お子さんの機能性ディスペプシア(FD)でお困りの親御さんが、お子さんを連れて来院するケースが多いです。発育のコースで子どもに対応していることと機能性ディスペプシアの症例をホームページに多く載せていることが関係しているのでしょう。FDで来院してくるのは、小学校高学年くらいからになります。
機能性ディスペプシアは、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みなどの自覚症状があるにもかかわらず、内視鏡で観察しても胃がんや胃潰瘍などの器質性疾患が認められない病気です。
器質的異常がないのであれば胃の機能低下が考えられます。胃の働きは、食べ物を滞留し、伸びたり縮んだりする蠕動運動で胃液と混ぜ合わされ、十二指腸へ送り出すことです。その機能が、何らかの原因で異常を引き起こすのでしょう。
当院では、その原因をストレス、生活習慣の乱れ、骨格の歪みと3つに大きく分けて考えています。原因が一つというよりかは、いくつか組み合わさっています。これらが自律神経を乱すことで胃の不調につながっていくのです。当院では、機能性ディスペプシアを"自律神経失調症"のひとつとしてアプローチしています。
子供のFDであっても、基本的には大人と同じ対応になります。しかし、子供に特有のケースも経験上あると考えています。それらを説明していきます。
自律神経症状を心理面・身体面・神経系から考える
自律神経失調症の一般的なケースでは以下のようになります
・なんらかのストレス要因 → 心理面で不安 → 自律神経系の交感神経が優位 → 身体面の不調(症状)が続く → <ループ>
ストレス要因は、大人であれば、対人関係や仕事関係、家庭の問題や環境の変化など。子供の場合は、学習面や感覚過敏、発育途上の身体の変化もあります。
そして、ストレス要因だと思っていたことが解決したり、ひと段落して落ち着いたにも関わらず、症状が治らないケースが多いのです。以下のようなことが起こっていると考えられます。
・身体面の不調(症状)がストレス要因 → 心理面で不安 → 自律神経系の交感神経が優位 → <ループ>

この<負のループ(悪循環)>を理解することがとても重要です。いたずらに不安になることを避けることが最初の一歩になります。
そして、来院者には、身体面へのアプローチで体の緊張をとり、交感神経優位の状態を副交感神経に切り替わるようにしていきます。さらに、第一頚椎の矯正で胃への神経伝達を改善させることもおこなっていきます。
子どものFDにはどのような悩みが多いか
子どもの機能性ディスペプシア関連の悩みには様々なケースがあります。それらをいくつかのパターンに分けて紹介していきます。
●胃が弱っているのに食べ過ぎ
・小学5年生女子が食中毒後に入退院を繰り返しているとのことで来院。胃痛と吐き気。病院では機能性ディスペプシアの疑いがあるといわれた。退院したときに、まだ胃が本調子ではないのに、本人が我慢していた脂っこいものを食べて、胃に負担をかけることを繰り返してしまったのでしょう。我慢というブレーキは脳の前頭前野の働きです。小学校高学年だとまだ発育途中と考えられます。
・高校3年生男子が体重を増やすために筋トレをしつつ、食事量を増やして頑張っていたところ、FD発症。自分で決めたノルマの食事量をこなすことを優先していたので、胃の悲鳴を無視して食べ続けたことが原因だと考えられます。
●感覚過敏
・高校2年生女子が、夏から胃の不調が半年間続いているということで来院。詳しく聞いていくと、夏休み期間はゲームをしている時間が長かった。視覚過敏と聴覚過敏があるので脳への負担が大きく、脳疲労から胃の機能低下につながっていったと考えられます。
・高校3年生男子で発達障害の傾向あり。小学6年生のときに給食の味付けが変わったせいで合わなくなった。吐き気を感じるようになり、嘔吐恐怖症と診断されたこともある。学校では飲み物をなんとか飲めるくらいだが、家では食べられる。高校一年生のときの家族旅行で海鮮物を食べて気持ち悪くなってから、外食にも行けなくなる。
●社交不安障害(SAD)
・大学一年生男子。小学三年生のときに病気になり、給食を食べるのが遅くなったのをからかわれたのがトラウマ。知り合いとの外食はナーバスになる。一方、大学生になり、ひとりで食事していると「ぼっち」と思われないかと不安になる。
・大学4年生男子。高1のときに学校で突然、気持ち悪くなりFD発症。原因が思い当たらない。それから、人と食事するのが苦手になる。大学受験の勉強に専念しているうちに改善したが、就職活動中の会食の場面で再発。社会人になる前に克服したいということで来院。
まとめ
ここまでお読みになった方は気づくでしょうが、子どもの自律神経失調症には『発育の問題』も絡んでいることが多いのが特徴のひとつです。『発育の問題』には、"身体の成長"と"脳の成長"と"心の成長"が関係しています。早めに対応したほうがいいでしょう。
<子供のFDに関連した症例> ・
ゲームのやり過ぎで胃の不調が続く
・
高校生でFDになってから人と食事するのが苦手