「不登校児童生徒とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」というのが文部科学省による不登校の定義です。
【不登校の要因】
・無気力、不安
・生活リズムの乱れ
・学校生活での対人関係
・家庭環境
・学業不振
・発達障害
文部科学省の統計データによると、「無気力、不安」が原因の不登校は50%以上ということです。
「不登校」と「引きこもり」は混同しやすいですが、不登校は学校に行かない小学生~高校生までの児童や生徒を指すのに対して、「引きこもり」は年齢に関係なく6ヶ月以上にわたって家に閉じこもっている状態です。
不登校と小児慢性疲労症候群
不登校の児童や生徒に多く発症するのが、小児慢性疲労症候群です。
小児慢性疲労症候群(CCFS)は、3ヶ月以上続く疲労感や倦怠感、睡眠・覚醒リズム障害などの症状を特徴としています。慢性疲労にともなう記憶や注意力の低下が、学力低下に繋がる可能性があります
【症状】
・強い疲労感や全身倦怠感
・睡眠障害
・関節痛、筋肉痛
・感覚過敏
・頭がモヤモヤして働かない
・やる気が起こらない
・不安が止まらない
【特徴】
・ある日を境に突然、原因不明の激しい全身倦怠感に襲われる
・十分に休養をとっても疲労感は抜けず、体調は回復しない
・内的外的なストレスで発症しやすい
・繊細で几帳面、完璧主義、我慢しすぎる、頑張り過ぎるタイプが発症しやすい傾向がある
当院の小児慢性疲労症候群へのアプローチ
小児慢性疲労症候群(CCFS)へのアプローチは、基本的には大人の慢性疲労症候群(CFS)と同じです。不登校の原因の半数をしめる「無気力、不安」は、脳の慢性炎症によるものだと捉えてアプローチしていきます。
さらに、子どもの場合には、感覚面での発育の問題があります。
光や音に対する過敏さがあるにもかかわらず、長時間のゲームやスマホの使用により脳が疲労してしまい、睡眠・覚醒リズム障害につながっていくケースが多いのです。
感覚過敏があるということは、他の感覚器が未発達の場合があります。
感覚には、触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚の五感と、固有覚、前庭覚があります。これらの感覚システムから入ってくる感覚情報をうまく取り扱うことを「感覚処理」といいます。
当院では、未発達の感覚器を育てることで、感覚過敏にアプローチしていきます。簡単にいえば、シーソーのようなもの。鈍感な感覚が育っていけば、敏感な感覚がおさまってくるイメージです。
脳・自律神経・体・心の観点から
当院のテーマに「心と体をつなぐ脳と自律神経」があります。
これらの4つの観点から様々な症状に対応していくことが当院の基本方針です。
そして、これらを小児慢性疲労症候群に当てはめてみます。
・脳(脳疲労/ブレインバランス/感覚の発育途上)
・自律神経(生活習慣/交感神経と副交感神経のバランス)
・体(骨格調整/姿勢/不器用さ/身体図式の発育途上)
・心(対人関係/メンタルヘルス)
不登校は「心の問題」と捉えられがちです。
「心の問題」を無視することはできませんが、当院では「脳」「自律神経」「体」を整えてから、「心」に対応していくという順番で行なっています。
小学生から高校生の時期には「心」も成長途上でしょうから、「心」の土台となる「脳」「自律神経」「体」からアプローチしていくほうが良いと考えているからです。
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